「エアコンもつけてるし、室内は涼しいはずなのに…うちの子、床にぺったり張りついたまま動かないんです」
夏になると、こんな声を耳にすることが増えてきます。
人間にとっては快適でも、犬の目線では“まだ暑い”ということも。
その何気ない行動の裏に、夏特有の体調サインが隠れているかもしれません。
今回は「床から動かないワンちゃん」の行動に注目し、その背景にある原因や対策について、わかりやすく解説します。
エアコン下でも床で休む理由は?
冷たい床面で体温調節しているから

犬がフローリングにべったりと寝そべるのは、冷たい床に体を当てて熱を放出するためです。
エアコンで室温が下がっていても、冷気は床にたまりやすい性質があります。
そのため床の表面温度は、実際の室温よりもひんやりしていることが多いのです。
犬は体温調節が得意ではなく、特にお腹を冷やすことで放熱しようとします。
この時、パンティング(ハァハァとした浅い呼吸)をしたり、水をたくさん飲んだりするのも暑さをしのぐためのサインです。
これって夏バテ?熱中症?
見逃したくないサインまとめ

犬が体調を崩したとき、次のような兆候が現れます。
- 苦しそうな呼吸(パンティング)が続いている
- よだれの量がいつもより多い
- 動かずぐったりしている/反応が鈍い
- 食欲がなく、ごはんを残しがち
- 舌や歯ぐきの色が赤紫色に変化している
これらは熱中症や夏バテの初期サイン。
進行するとけいれん、多臓器不全など命に関わる危険もあるため、早期の対応が大切です。
すぐに冷却・水分補給を行い、改善が見られない場合は迷わず動物病院へ。
実際にあった!
獣医師も警鐘を鳴らす「見逃しがちな例」

- 窓を開けた室内で風通しが悪く、愛犬がぐったり。→軽い熱中症に。
- エアコンを入れていても、日差しが直撃する場所で寝ていて熱中症に。
- 車内に5分放置しただけで、愛犬が倒れかけた。
一見「それくらい大丈夫そう」に思える状況でも、犬にとっては大きな負担です。
特に夏の室内は、直射日光・湿気・空気のこもりに注意。
飼い主が「これくらい平気でしょ」と思う前に、愛犬の様子を観察してみてください。
人間の快適温度 ≠ 犬の快適温度!
室温と湿度を見直そう

犬が過ごしやすい理想環境は以下の通りです:
- 室温:20~23℃(家庭では25~26℃でもOK)
- 湿度:50~60%
湿度が高すぎると、パンティングをしても熱がうまく逃げません。
また、床と天井で温度差がある場合、床に冷気を送る工夫も必要です。
- サーキュレーターや扇風機で空気を循環
- 冷気が直接犬に当たらないよう風向きを調整
- 直射日光を遮る遮光カーテンやすだれを設置
家庭でできる暑さ対策アイデア
室温調整とあわせて、以下のようなアイテムや工夫も効果的です。
- クールマット・ジェルマット・大理石ボード
床に直接置いて、犬が自分で冷たい場所を選べるように。 - 冷感ウェアやクールバンダナ
水で濡らして着せたり、保冷剤を入れたりして首・背中を冷やせます。 - 新鮮な水を常に用意
飲みやすい場所に複数置いたり、ウェットフードを取り入れるのも◎。 - サーキュレーター・扇風機
冷たい空気が室内にまんべんなく行き渡るように。
これらを組み合わせることで、愛犬が自ら「涼しい場所」を選びやすくなります。
まとめ:
「いつもと違う」には、ちゃんと理由がある

床から動かない、元気がない…。
それは犬なりの“体調サイン”かもしれません。
エアコンが効いているから大丈夫、と思わず、湿度・床温・日差し・空気の流れをもう一度チェックしてみましょう。
飼い主が「なんとなく変だな」と感じたときには、すでに犬の体に負担がかかっている場合もあります。
観察・早めの対応・そして獣医師の力を借りること。
それが、大切な家族の命を守る第一歩になります。
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