犬種共通で活用できる生涯ワクチン計画の決定版。
子犬からシニアまで「いつ・何を・どのくらい」接種すればいいかを、
最新ガイドライン × 国内情報でわかりやすく整理しました。
費用、副反応対策、自治体手続き、多頭飼い割引まで網羅しています。
1. ワクチンで防げる主な感染症と致死率

疾患 | 概要 | ワクチン未接種時の致死率 |
---|---|---|
犬ジステンパー | 呼吸器・消化器・神経症状 | 50%以上 |
犬パルボ | 激しい嘔吐・血便 | 90%超(子犬) |
犬アデノ 1型(伝染性肝炎) | 急性肝炎・肺炎 | 半日~1日で急死例 |
犬アデノ 2型 / パラインフル | ケンネルコフ原因 | 軽症~重症化で死亡も |
犬コロナ | 下痢など軽症が多い | 低い(重症化は稀) |
レプトスピラ症 | 腎不全・肝不全を誘発 | 約50% |
狂犬病 | 中枢神経障害 | ほぼ100% |
年齢別免疫のポイント
- 子犬:母子免疫は生後 8〜12 週で消える ⇒ 2〜4 週間隔×複数回接種が必須
- 成犬:獲得免疫は徐々に低下 ⇒ 定期ブースターで抗体維持
- シニア:年齢より健康状態で判断。抗体価検査と主治医相談で最適化
2. 混合ワクチンの種類と選び方

種別 | 主な構成 | 特徴・推奨シーン |
---|---|---|
5種 | ジステンパー / アデノ1・2 / パルボ / パラインフル | 室内飼育でも必須の“コア”セット |
6種 | 5種+犬コロナ | WSAVAは非推奨 |
7種 | 5種+レプトスピラ(2型) | 都市部でも河川・山遊び多い子に |
8種 | 6種+レプトスピラ(2型) | 6種採用病院の場合はこちら |
9・10・11種 | レプトスピラ型数を追加 | アウトドア主体・流行地域で検討 |
💡 選び方のコツ
- 都市部・完全室内 → 5種で十分
- 水辺・キャンプ・農村部 → 7種以上でレプトスピラ対策
- 型数が多い=万能ではない ⇒ 地域流行型+生活スタイルを獣医師と相談
3. 年齢別ワクチン接種スケジュール

3-1. 子犬(0〜1 歳)
- 生後 8 週 … 混合①
- 生後11〜12 週 … 混合②
- 生後16 週以降… 混合③(最終)+2 週間後から散歩解禁
- 生後 91 日以降… 狂犬病初回
- 1 歳の誕生日前後… 混合追加ブースター
3-2. 成犬(1〜6 歳)
- 狂犬病:法律で毎年(4〜6 月集合注射 or 病院)
- 混合ワクチン:年1 回が国内主流(※コアは 3 年毎可)
- 混合⇔狂犬病は 2 週間以上離す
3-3. シニア(7 歳〜)
- 基本は 狂犬病+混合年 1
- 体調変化で減種 or 抗体価検査を検討
- 持病・高リスク時は猶予証明の可否を主治医と相談
4. 狂犬病ワクチン|義務・手続き Q&A

4-1. なぜ毎年?
清浄国を維持するには接種率 70〜75% が必須。
ウイルス流入時の防波堤になるため法律で年 1 回を義務化。
※清浄国=狂犬病の発生がない国
4-2. 手続き早見
- 【生涯 1 度】犬の登録(鑑札発行)
- 【毎年】狂犬病注射 > 注射済票取得(首輪に装着)
- 【引っ越し】30 日以内に登録事項変更届+鑑札交換
4-3. 接種猶予の要件
- 重度アレルギー既往 / 末期疾患 / 免疫抑制治療中 など
- 高齢のみは対象外。毎年診断書が必要。
5. 抗体価検査で“打ちすぎ”防止

- 測定対象:ジステンパー・パルボ・アデノの 3 疾患
- 費用目安:3 項目セット 8,000〜12,000 円
- 判定:陽性なら 1 年見送り可 / 陰性は早期追加接種
- 狂犬病・レプトスピラには法的・免疫学的に不適用
6. 副反応・アナフィラキシー対応フロー

接種前
- 午前中に接種・体調万全を確認
- 過去の副反応や投薬を事前申告
接種後 0-30 分
- 病院で待機し顔の腫れ・呼吸を観察
- 異常時 → その場で処置(抗ヒスタミン・ステロイド 等)
帰宅後 1-3 日
- 軽い発熱・食欲低下は自然回復が多い
- 嘔吐・ぐったりが続く/呼吸異常 → 再受診
記録と次回対策:副反応が出たワクチン名・症状をメモし、次回は種類変更や事前投薬、抗体価検査で調整。
7. 接種費用の相場(東京 vs 地方)

メニュー | 東京(例) | 地方(例) |
---|---|---|
5 種混合 | 5,700 円 | 4,500 円 |
7-8 種混合 | 8,470 円 | 7,000 円 |
狂犬病注射 | 3,520 円 | 3,000 円前後 |
※診察料・済票交付料・初回登録料は別途。
多頭飼い割引(2 頭目 −500 円など)や、フィラリアセット割を実施する病院も。
8. 自治体助成&病院割引

- 公的助成:ほぼ無し(保護犬譲渡等の限定補助を除く)
- 病院サービス:多頭割・セット割・早期予約割を要チェック
- 予防費の積立+割引活用で家計負担を最小化
9. 年齢別ワクチン早見表

年齢 | 混合ワクチン | 狂犬病 | 備考 |
---|---|---|---|
0-1 歳 | 初回 3 回+1 歳ブースター | 生後 91 日以降 1 回 | 散歩は最終接種+2 週後 |
1-3 歳 | 年 1 回(5 or 7 種) | 年 1 回 | 施設利用証明に注意 |
4-6 歳 | 年 1 回(抗体価で延長可) | 年 1 回 | 健康診断で副反応予防 |
7 歳〜 | 年 1 回(減種・抗体価併用) | 年 1 回 (猶予要件あり) | 持病時は主治医と相談 |
まとめ|“最小回数×最大効果”の 3 ステップ
- 感染リスク(地域・生活)を把握
- 最新ガイドライン × 抗体価で間隔を確認
- 獣医師と相談し愛犬に最適なプランを設計
ワクチンは打つタイミングが 9 割。
計画的な接種で、愛犬とずっと健康に暮らしましょう🐾
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